EDRコーパス内の実例文を基に結合価情報としてまとめたものを三省堂様からリリースしました

  • 日本語の動詞の特性の研究に!!
    コンピュータによる日本語文の調査・分析の検討の基礎データとしてご利用ください。
  • パソコンを使った日本語教育に!!
    「どんな単語がどんな動詞や助詞と一緒に使われるか」などパソコンを使った日本語教育のひとつの材料としてご利用ください。

今後のためにも、データに関するご意見、ご提案、ご要望などお聞かせいただければ幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。荻野、小林(2003. 11)

本書「はじめに」より

かつて、わが息子が小学生時代、授業参観に行っておもしろい授業をみた。 先生は黒板に「走る」と書いた。 そしてその左側に単語の一群を書いた。

「人,車,机、花、月、……」
「さあ、どの言葉なら『走る』にくっつくかな?○×をつけてみましょう」
「○人,○車,×机、×花、○犬、……」
「さあ、それじゃ、『歩く』はどうかな?」
「○人,×車,×机、×花、○犬、…」

まさにこれは「動詞と名詞の単語の意味的な関係から表現の正しさをチェックする結合価ではないか」と私はおもしろく思った。 私たちが本書で提供するデータはまさに、この動詞を中心として係る語と係られる語の関係を単語の意味的なグループでとらえるためのデータである。 これをここでは「結合価データ」と呼ぶ。

結合価データとは、
 例  <容器>に入れる
    <容器>→{なべ、箱、袋、戸棚、いれもの、カバン,…}

に示すように、用言を中心とした解析で、用言に係る体言と体言の後に続く格助詞の組み合わせで用言の特徴を記述するものである。これによって、係り受け関係を特定したり、意味によって表記に違いがあるものを限定したりすることができる。 通常、結合価データは、述語になりうる単語のうち格関係をとる動詞、形容詞、形容動詞(格関係をとる場合は名詞も結合価分析の対象となりうる)などについて記述するが、本書でのデータは上記のうち、動詞のみを対象としている。よって、本文では結合価記述の係り先の単語を動詞として展開する。